2003年度 アイドルトーク 02

 

3月号 「専用車両

先日、地下鉄に乗る機会がありました。ホームに入ってくる電車のいくつかの扉には「女性専用車両」を示すピンクのステッカーが貼られていました。車内放送を通じて、この地下鉄では始発から終電までの全列車に「女性専用車両」を設定していることがわかりました。こんなふうにしないと女性に対する迷惑行為がなくならないのかと情けない気もしましたが、女性の人権を守ろうという意識が社会に定着しつつあるのだとも思いました。アナウンスが続きます。「なお、車椅子ご利用のお客様及び目の不自由なお客様は、女性専用車両にご乗車いただけます。また、女性のお客様に同伴される小学6年生以下の男性のお子様、及びお身体の不自由なお客様と介護者のどちらかが女性の場合は、女性専用車両にご乗車いただけます。」(なるほど、この「専用車両」には女性だけでなく、ハンディを持つ人と子どもは乗れるのか)と、ぼんやり考えていましたが、こうした専用車両がこれ以上増えないほうが良いように思えてきました。電車の中にはさまざまなハンディやニーズをもつ人たちが乗車しています。そうしたことが原因でひきおこるトラブルや不便さを少なくする方法が「接触しない」「切り離す」ことだけに進んでいけばどうなるのかと思ったからです。

「人権教育のための国連10年」国内行動計画は、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者等、刑を終えて出所した人等を重要課題にあげ、こうした問題の解決に向けた取組を推進しています。そうした取組を通して「広く国民の間に多元的文化、多様性を容認する『共生の心』を醸成することが何よりも要請される」と述べています。また同じく「奈良県行動計画」には「違いをありのまま受け入れ、共に学び働き、親交を深めるなかから、互いの尊厳への自覚が生まれ、互いを向上させることができます。個性を尊重し、多様な文化を認め合う意識と態度が必要です」とも書かれています。

女性やハンディを持つ人が、権利としてその車両に乗れることは大事なことです。しかし、「○○専用車両」の種類や数がどんどん増やされ、そこにしか乗れないことになっては大変だと思うのです。ちなみに、神戸市交通局が昨年実施した「女性専用車両に関するアンケート」によると、「女性専用車両」の設置について、男性の80%が反対と答えています。その理由の一番は「他の車両が混雑する」、二番めが「男女差別になる」でした。一方、女性は55.7%が賛成と答え、「安心して乗車できる」を理由の一番に挙げています。しかし、「迷惑行為の根本的解決にならない」などとして、反対も32.6%にのぼっています。みなさんは、どう考えますか。