2004年度 アイドルトーク 02

 

12月号 「子どもたちに安全と安心を

'01年6月に起きた大阪教育大学附属池田小学校での児童殺傷事件以来、学校内への侵入者によって子どもたちが傷つけられたり、登下校中の児童が連れ去られたりする事件が相次ぎました。こうしたことに対して、学校等では校門の施錠、監視カメラや非常通報装置等の設置、教職員や保護者による校区内の巡視などの取組が全国的に進められてきました。しかし、また事件は起きました。

この朝も、彼女はいつもと同じようにランドセルを背負って家を出たのでしょう。「いってきます」と元気にドアを開けて駈けていく姿が目に浮かびます。そして、いつもと同じように学校で過ごしたあと、2時までには家に帰るはずでした。11月17日も有山さん家族にはいつもと同じ平凡な1日として過ぎるはずだったと思います。でも大事なわが子は夕方になっても戻って来ませんでした。行方不明の愛娘を知人と共にさがすご両親の気持ちを思うと胸が痛くなります。そんな状況を見透かすかのように犯人は、写真のついた残酷なメールを母親に送りつけました。とても人間の思いつく行為とは思えません。尊い命を奪い、この家族の幸せな日常を破壊した罪は重大です。一刻も早く犯人を見つけ出してほしいと願います。

ところで、立て続けに惹起する凶悪な事件を子どもたちはどのように受け止めているのでしょうか。昨年、県立教育研究所が「生活・学習・しごとについての意識調査」を実施されました。その中の「現在の社会についてどう思いますか」の設問に対して、「おとなの人の不正や犯罪が多く、不安な気持ちをもっている」と答えた子どもたちが、小学生では63.5%、中学生でも57.8%に上っています。本来は子どもたちの育ちを支えるべきおとなの行為が、子どもたちの生活を脅かしているととらえられます。今もう一度同じ質問を子どもたちに投げかけたらどんな結果になるのでしょうか・・・。

「精神的なショックや恐怖感を感じている子どもには、担任、親、きょうだいらが『もう安心だから』『絶対に守ってあげる』という気持ちを伝えることが必要だ。親しい大人が子どもの話を聞き、不安を吐き出させ、和らげてあげてほしい」という兵庫教育大の上地教授(臨床心理学)の話を朝日新聞は掲載しました。

こんなときだからこそ、人は信じられるもの、地域社会は君たちを見守っているということを子どもたちに少しでも感じさせたいと思います。未来を創る子どもたちに安全と安心を。わたしたち「おとな」の出番です。