2006年度 アイドルトーク 02

 

6月号 「食べすぎ

以前は「成人病」といわれた高体重(肥満)・高血糖(糖尿病)・高脂血症・高血圧などの低年齢化が進み、いまでは「生活習慣病」と呼び名が変わっています。このような「高」のつく病気は、運動不足とともに栄養過剰、つまり「食べすぎ」が大きな原因の一つだといわれています。そこで、「食事は、残さず食べることを目的とするのではなく、お腹がいっぱいになったらやめる習慣をつけましょう。どんな分量が出てきても、自分の食べる量は自分で決める。これが大切です」などといわれますが、子どももおとなもなかなか実行は難しいものです。

医学博士の石原結實さんによると、「人類300万年の歴史のほとんどは、氷河期、洪水、火事、地震、干ばつなどの天変地異により、飢餓を強いられてきた。よって空腹により、人体細胞の活動源である糖分が血中に枯渇してきた時にそれを増加させるホルモンは、グルカゴン、コーチゾール、アドレナリン、ノルアドレナリン、サロキシン・・・等々、10種類ぐらいも存在する。しかし、食べすぎによって、血糖が上昇した場合、それを下げるホルモンはインスリンしか存在しない。人類の歴史は飢餓の歴史であり、飢餓に対しては如何ようにも対処できるが、食べすぎに対しては、対処の術がわからず、現在のような『高』のつく生活習慣病になやまされている」のだそうです。

つまり、「食べすぎ」「与えられすぎ」には私たちの身体が慣れていないというのです。そうか、ついつい食べすぎてしまうのは意志の弱さではなく、人類の歴史に根拠があったのかと、安心してしまいました。自分の命と身体を守り、健康を維持するために「食べる」のではなく「食べない」ことが求められる時代になりました。でも、世界では約8億人が飢餓と栄養失調に苦しんでいます。また、1年間で約600万人、5秒に1人の割合で、5歳未満の子どもたちが、栄養不良に関連する原因で亡くなっています。そして、飢えと栄養不良は今も世界第一位の死亡原因です。

人類史上稀な「与えられすぎ」の時代に生まれ育つ日本の子どもたちと一緒に、自分の身体と世界を見つめてみましょう。