2006年度 アイドルトーク 02

 

7月号 「むだ話のすすめ

「キドニタテカケシ衣食住」という言葉を聞いたことがありますか。「季節・道楽(趣味)・ニュース・旅・テレビ・家族・健康・仕事・衣服・食べ物・住まい」の頭文字で、雑談の糸口をみつけるためのキーワードです。最近は商談をスムーズに進めたり、同僚などとのコミュニケーションをうまくとるために、こうした雑談のノウハウを学ぶ研修が企業では盛んに行われているそうです。また、「雑談力云々」という書籍も数多く出版されています。雑談とは「さまざまな内容のことを気楽に話すこと」であり、「とりとめのない話」です。でも、こうしたことができない人やできない職場が増えていると言われています。原因としては、連絡などが電子メールなどのコミュニケーション手段により行われるようになり、会話の機会や必要性が減ったこと、そして効率が優先される職場環境の中、昼食を一緒にとりながら会話を楽しむことも少なくなったことなどが挙げられています。

さて、私たちの職場はどうでしょう。企業の現場とは違いますが、多忙さの中、同僚とゆっくり話す時間がみつけられないのは同じではないでしょうか。

雑談は「むだ話」という言い方もあり、不必要なもの、そんな時間があればもっと大事なことをしたいと思う人もいるかもしれません。でも、雑談には意味があるのです。仕事の合間のホッとする時間というだけでなく、テレビやスポーツ、家族のことなどいろんな話題で雑談することで、相手の人柄や価値観などがわかってきます。もちろんこちらの性格や趣味なども伝えることになります。また、雑談では「相手の気持ちに寄り添って話を聴く」ということが求められます。自分が言いたいことだけを言う人は雑談の場では決して受け入れられません。「雑談力」は「聴く力」であるともいえます。大切なことを話せる深い関係も、こうした雑談ができる関係の中から生まれてくるものです。さらに、気楽な会話によって自分の考えが整理されたり、思わぬアイデアが浮かんだりすることもあります。

私たちがまず雑談できる時間と、どんな話題も話し合える関係をもつことが大切です。そして、子どもたちにも、授業中のコミュニケーション力を追求するだけでなく、休み時間や休日に雑談できる関係と心の余裕をもたせたいと思います。

「教室を一歩出ちゃえば君ともう会話もせずに他人みたい」(NHKラジオ『土曜の夜はケータイ短歌』より)という高校生の短歌が胸にささります。