2013年度 あいどるとおく

 

3月号 「過去から学ぶ

 先日、劇団四季のライオンキングを観に行き、心に刺さる台詞と出合いました。主人公のシンバというライオンは、自分の責任で父親を死なせてしまったと思い、故郷を離れて生きるのですが、ラフィキというマントヒヒがやって来て、次のように言うのです。
「過去とは痛いものだ。だが、道は二つしかない。過去から逃げるか。学ぶか。わかるね。」

 話は変わって、二冊の絵本の話をします。
一冊目は、二〇〇四年に発行された『戦争のつくりかた』です。「あなたは戦争がどういうものか、知っていますか?」という語りから始まり、わたしたちの国は六〇年近く前に戦争をしないと決めたが、国の決まりを少しずつ変えていけば、戦争しないと決めた国も戦争ができる国になるということに続いて、その間にどんなことが起こるかが具体的に書かれています。そして、「わたしたちは、未来をつくりだすことができます。戦争しない方法を、えらびとることも。」と結ばれます。
二冊目は、昨年の五月に発行された『ケンポーじいさん、ながいきしてね。』です。けんかをして泣きべそをかいている子へ、ケンポーじいさんが自分の話を聞かせていくのですが、最後に「ケンカをしなくてもいい方法はたくさんあるんだからね。」と語りかけます。そして、話を聞いていた子の「ケンポーじいさん、ながいきしてね。」という言葉で物語りは終わります。
『戦争のつくりかた』は、二〇〇四年六月に成立した有事関連法をはじめとした法律などを基に書かれています。『ケンポーじいさん、ながいきしてね。』のケンポーじいさんとは、日本国憲法のことです。この二冊の本を読み比べ、そこに共通の問題意識を感じました。

 今私たちは、「過去から学ぶ」ということを、もう一度しっかりと考えないといけないのではないでしょうか。
昨年の十二月の新聞に、西田敏行さんのこんな言葉が載っていました。
「日本は平和ボケしてるって声を時々聞くけど、なんで緊張を強いるんだろう。平和なら、ぼけてもいいじゃないの。」

 みなさん、今年度も奈人教の取組にご協力いただきありがとうございました。すべての人の人権が保障される平和な世の中であるために、これからも共に実践を積み重ねていきましょう。