2016年度 あいどるとおく

 

1月号 「共に生きる

 

 ある児童が自身のくせ毛のことで同級生などからからかわれ悩んでいました。その児童の親は、「あなたはくせ毛なだけでしょ…障害があるわけじゃないんだから」と声をかけました。児童は、この声かけをどのように捉えたのでしょうか。自分が生まれつきの髪質で差別をされ、つらい思いをしたり、苦しい立場にたたされたりしたにもかかわらず、他者を差別してしまう意識につながるのではないか…このように「~よりは、ましだ」という優生意識は、誰もがもっているのではないでしょうか。自分自身のことをふりかえってみても、ある子を励ますために、他者の立場を軽視してしまうような発言をしてはいないだろうか…常に自分自身にもアンテナをはることが大切です。
 その後、児童は学校に縮毛矯正をして登校します。その時のことを作文のなかで、「~ちゃん、前のフワフワな髪の毛、似合ってたのに」や、「後ろからみたら~ちゃんって分からんかったわ」と声をかけられ、「複雑な気持ちもあったけれど、わたしは、髪の毛で覚えられていたんだな」と思いました…とふりかえっています。そのことから、「わたしはわたしでいいんだ」と思ったことを、作文の最後に綴っていました。
 昨年、4月1日に「障害者差別解消法」が施行されました。この法律は、障害のある人もない人も、互いにその人らしさを認め合いながら、共に生きる社会をつくることをめざしています。法律を具体化するためには、「互いにその人らしさを認め合うとは、どういうことなのか」を考え直す必要があるのではないでしょうか。