第63回奈良人権教育研究大会 報告等の概要事業報告

第1分科会 教育内容の創造と学習活動

第1分散会

まいにちいろんなことがある~共有体験を通して自尊感情を高めるために~

三宅町立三宅小学校 石本美奈子・稲山嘉延・田仲由佳・中道佳子

本校児童の実態として自尊感情の低さが見受けられる。1年生では、「自尊感情」を「共有体験」を通して高めたいと考え、学年として取り組んだ。また、「障がい」のあるAさんの入学にあたり、それぞれにちがうもちあじを大切にする集団作りを目指してきた。そんな中で、見られた1年生のまいにちのようすを報告します。

「はせがわくんきらいや」を取り組んで~子どもの姿・つぶやきから見えてきたこと~

三郷町立三郷小学校 松本浩典・西浦智子

運動会練習でのAに対する言葉、子どもたちの関わり合い。一見仲良く見える子どもたちだが、気になることが多々見えてきた。そこで、子どもたちに「本当の友だちとは何なのか」について考えさせたいと思った。教師間で子どもの姿やつぶやきを出し合い、取組を進める中で見えてきたこと学んだことについて報告する。

想いが創る自由~ろう学校に在籍する児童との交流を通して~

香芝市立下田小学校 旧4年生学年集団

下田小学校4年生では、障がい=不自由などの意識を変容させることを目的とし、ちがいをあってよいものと捉える「共生」の意識を育む取組を行った。取組の内容は、障がいをもつ児童との2度の交流会および国語科における学習で構成した。取組の終末では、交流会の活動内容を児童に企画させ、障がいがあっても、工夫次第で不自由を感じることなく共に楽しんだり学んだりできることを体験させた。

  

第2分散会

いじめについて考える~「みんなの中の私、こころもからだもイキイキ」であるために~

奈良市立富雄中学校 土橋和歩

富雄中学校では、毎年1年生の2学期に「いじめについて考える」取組を行っている。いじめ事象への指導の中で「生徒自身のいじめについての理解が足りない」、「実際にいじめが起こってからでは、当事者の生徒の感情のもつれが重なり指導が入りにくい」といった経験から、いじめが起こったあとの事後指導だけでなく、過去の経験や架空のケースを提示することで客観的にいじめについて考え、いじめを未然に防ぐことを目指した取組を行うようになった。学年のスローガン「みんなの中の私、こころもからだもイキイキ」であるための取組を報告したい。

「なんか、こわい・・・」子どものつぶやきから~『島ひきおに』の実践を通して~

桜井市立桜井南小学校 井上拓己

四月当初からなかなか本音が言えないでいた子どもたち。教室にはどこかしら「正しい」答えを求めすぎる雰囲気があった。そんな中、ふとした時につぶやいた「なんか、こわい・・・」から子どもたちの本音が・・・。本音と向き合ってほしいと思い取り組んだ絵本『島ひきおに』。そこから見えてきた子どもたちの姿を報告します。

ひとみ きらきら えがお きらきら

大和高田市立菅原小学校 旧1年学年集団

毎日の生活の中で出会う「人・もの・こと」をやわらかな心で受け止める1年生の子どもたち。子どもたちのひとみが輝き、笑顔で過ごせるなかまづくりを目指し、「ともだち」について気付き、思いやる心や人とつながる力をはぐくむ取り組みを進めてきた。

第3分散会

部落問題学習について

大和郡山市立郡山南中学校 旧2年生教師集団

本校生徒は落ち着いた学校生活を送っているが、時として自分本位の考えから友人とトラブルになることがある。このような生徒の実態を踏まえ、本学年では部落問題学習を通して、思い込みや根拠のないことで相手を決めつけず、互いに認め合い相手も自分も大切にする心を育てようとした。その取り組みについて報告したい。

なき声以外は、ムダにしない

桜井市立城島小学校 細谷和樹

自分の生活がたくさんの人に支えられて成り立っている。精肉店への見学などを通し、普段、何気なく食べている牛肉もたくさんの人の手を経ていることを考え、働く人への尊敬や感謝の気持ちを育むことを目指した取組を報告します。

「平和の道を未来へつなぐ」

上牧町立上牧第三小学校 大住奈美・西規世子・平木充子

6年生で取り組む平和学習。子どもたちはたくさんの資料や映像をもとに調べ学習を行い,実際にヒロシマを訪れ,戦争や原爆の恐ろしさと平和の大切さを知っていきました。平和学習で学んだこと,ヒロシマで感じたことを表現運動として創作し,まとめた新聞と共に,報告集会で全校に伝えました。その実践を報告します。  

第4分散会

牛から学ぶ-いのち-

大和郡山市立矢田小学校 磯野孝圭

牛を題材とした2つの絵本を通して命の尊さについて学びを深めてきた。その中で、自分たちの身の回りには、加工されるまで「いのち」を宿していたものがあるということ、加工する仕事をしてくれている人がいて、自分たちの生活が支えられていることに気が付くことができた。牛を題材として取り組んできたことを報告する。

    

人に出会い、人に学ぶ-平和学習の取組-    

橿原市立耳成南小学校 井岡良太・髙谷文也・竹内淑恵

「人に出会い、人に学ぶ」をテーマに、戦争中に正しいことを貫き、行動した人たちについての学習やヒロシマで学んだ責任を考え、受け継いだ想いを伝えていく表現活動を中心に平和学習に取り組んだ。学んだことを自分たちの生き方に繋げていけるようにしたい。そんな思いを学年集団と共有し、子どもたちと進んでいくことにした。

    

食肉産業(とりわけ『と場』労働)の現場から      

天理市立西中学校 米田 敦

昨年度、本校では部落問題学習で『と場』についての学習を行った。食肉の歴史や『と場』の仕事、『と場』労働者の思いに触れた。その思いに触れる前と後では、生徒たちの考えが大きく変わった。第二学年で昨年六月に取り組んだ授業のようすと、夏に職員研修で実際に大和郡山市にある食肉センターに行ったときのようすについて報告する。

第3分科会 自立と共生をめざす集団づくり

第1分散会

きみがいたから~心のバリアフリーをめざして~

大和高田市立浮孔西小学校 南川(山田)真佐美

いろんな個性、いろんな感性、そしていろんな生き方・・・特別支援学級生をふくめた71人の六年生が、友達の心、自分の心と向き合い、学んだ心のバリアフリー。違いを認め合い、お互い応援し合える仲間でいてほしいという願いで進めてきた取り組みと、その後の子どもたちの変容を紹介します。

なかまを大切にし、共に成長し合える集団をめざして

橿原市立白橿中学校 豊永拓大

本発表は、個の成長と集団の成長が相互に関わり合っているという視点で行った学級運営の報告です。特に、場面緘黙の生徒への授業参加に向けた支援とその成果、課題に着目しました。様々な特性をもつ生徒がいることを生かして、「ちがい」を認められる集団として、学級全体を成長させることを目指しています。

相手を思いやる気持ちの輪をひろげる~おともだちマスターになろう~

大和郡山市立治道小学校 教職員一同

発語のないAちゃんとの関わりを通して、お互いのちがいやできることを認め合える「おともだちマスター」を目指した。進級し、成長するAちゃんや言葉でのコミュニケーションを苦手とするBちゃんを受け容れていく子どもたちの姿と、取組内容を共有し持続させ、温かく見守る職員全体の実践を報告します。

第2分散会

ともに成長する子どもたち~Aさんとの関わりを通して~

奈良市立柳生小学校 山本眞子・岡田満加・河戸孝子

Aさん(特別支援学級在籍)は、毎日友だちとの関わりを楽しんで過ごしている。学校では、生活の中の遊びや仕事などの活動で、Aさんと友だちとの自然な関わりを大切に集団づくりをすすめている。Aさんと周りの子どもたちとの日常のふれあいの様子と、関わりを通してのそれぞれの子どもたちの成長について報告したい。

ジェスチャーからのコミュニケーション

御所市立石光保育所 仲林順子

4歳児より入所したY児。経験不足による発達の遅れや母親の母国語であるベトナム語中心の生活をしていることから、保育所ではほとんど声を発しない。保育者は、話し言葉にジェスチャーを加え、身振り手振りでYesかNoを求めたり、手で◯や×を作って良い事とダメな事を伝えたりしながらコミュニケーションを図ってきた。Y児の、見て聞いて理解しようとする気持ちや態度を保育者で認め合い、周りの子ども達と一緒にY児とのかかわり方について、考えたり気づいたりしながら取り組んできたことを報告します。

「僕がおらんかったら、みんな心配してるかな。」

宇陀市立榛原東小学校 荒瀬俊明

A児は人の話をじっくり聞くことが苦手である。そのため、「みんなの声がうるさくて集中できへん。」と一緒に勉強することを嫌がったり、「ひまわり(別教室)で1人で勉強する。」と言って、教室を飛び出したりする。そんなA児に、A児のことを大切に思っている人がたくさんいることや共に学ぶ楽しさに気付いてほしいと思い、1年間A児と共に歩んでいった。

第3分散会

「ようちえん、やすみたないねん。」

橿原市立耳成幼稚園 職員集団

親が送り迎えをせず休みがちだったA児。職員が送り迎えや家庭訪問を続けることで、生活経験や遊びが保障され心身ともに成長していった。「ようちえん、やすみたないねん。」その一言が母親に伝わる。人とかかわり、つながりを感じる事で感性が豊かになり、感情のコントロールもできる様に、そんな姿を願っての取組である。

「みんなともだち」 ~ありのままを受け入れ、心寄り添える学級集団をめざして~

御所市立掖上小学校 馬場友美

掖上小学校で勤務して3年目の4月、初めて1年生を担任することになった。「学校が楽しい」「友だちと会いたい」と思える学級集団をつくりたいと考えた。不登園で友だちと遊んだことも生活経験も少ないまま入学してきたA。家庭でのしんどさを背負って学校へ来ているB。そんなAとBを核にしながら、集団の中で自分のしんどいこともうれしいことも友だちに伝え、そしてそれを受け入れ、寄り添える学級を目指して取り組みを進めてきた。

なんか不安やねん~教室に入りづらい子どもたちと向き合って~

天理市立柳本小学校 1学年集団

経験年数が浅い中で一年生の担任となった。じっと座れない子どもたちを前にして、自分の思いを伝えられないもどかしさを感じながら、悪戦苦闘の日々を過ごしていた。子どもたちが見せる教室のとび出しや立ち歩き等の様々な姿には背景がある。そのことに気付かされ、小さな歩みを進めたことについて報告したい。

第4分散会

夢追人、我に返る ~自分の居場所のある学級づくり~

奈良市立飛鳥小学校 宮城健太

私が一昨年に担任をしていた一年生の学級づくりの報告をします。入学当初、子どもたちは自分の赴くままにおしゃべりをしたり、自分の世界に入って遊んでいたりと、まさに夢を追いかけていました。その子どもたちが自分で居場所を作り、なかまと関わっていけるような学級にしたいと思い、取り組んだ様子を報告します。

にじいろ~70人それぞれの色を出そう~

橿原市立金橋小学校 2年生教師集団

「べつに、できへんことがあっても、人にはぜったい一つはいいところがある。だからきらいにならへんのやと思う。」人には一人では気付きにくい違いや個性があります。70人の子どもたちが、友だちと関わり合い、学びあう中で、それぞれの色やもち味を出しながら、みんなで大きな虹(集団)を作っていきました。

子どもがつながり合う学級をめざして~学級活動を通して見えてきた集団づくり~

田原本町立平野小学校 松本文美子

学級活動の中で、子どもたちの自主的な活動を軸にして集団づくりを進めてきた。学級会、係活動、学級劇などの様々な活動を通して、それぞれの児童が“丸ごとの自分”を出し合った。その取組の中で、お互いを受け止め合っていく姿、協力し合って集団として成長していく姿を報告したい。

第5分散会

「自分も 人も ものも 大切に」-安心できる温かいクラスの中で-

橿原市立第1こども園 鴨公幼稚園・藤原京保育所 若林樹

5歳児の子ども達。進級当初、自分の思いをうまく表現できず、思いがぶつかり合う子どもが多かった。そこで保育者との信頼関係のもとに、一人一人が安心できまた、友だちとつながりあえる温かいクラスづくりを目指した。また、運動会での和太鼓演奏をきっかけに、自分のことも、まわりの「いのち」あるものも、大切にする気持ちを育みたいと願い取り組んだ。

気持ち、伝えあおう~不安から自信へ 自信から信頼へ~

大和高田市立陵西小学校 旧第4学年教師集団

自己中心的な言動が多いため、子ども同士のつながりが弱く、集団としてまとまれない子どもたち。その裏側には、子ども自身が「不安」を抱えているのではないかと考えた。「不安」と向き合い、気持ちを伝え合おうとする子どもたちの心を大切にしながら進めてきた取組から、子ども同士、子供と教師集団との変容を報告する。

一人一人の「灯」を大きな「松明」に!~「共に」「自ら」伸ばし合う学級集団を目指して~

葛城市立新庄北小学校 堀川奈津子

入学当初より単学級で過ごしてきた本学級には、41人の児童が在籍している。さまざまな個性をもつ児童たちだが、なかま意識は4月当初から高かった。一人一人の力を伸ばすことで、集団としての力をさらに高めていきたいと考え指導にあたった。41人の「共に」そして「自ら」の力による成長を目指した取組について報告する。

第6分散会

「砂漠のオアシス」~音楽室での関わりから~

御所市立大正中学校 益田有子

複雑な家族関係の中に育ち、外には出さないものの、心の中に思い、迷いや悩みをもって入学してきたNMとYM。そんな彼女達と、音楽部をはじめ人権教育、学級の枠を超えて向き合ってきました。その向き合いの中で彼女達との3年間を振り返り報告していきたいと思います。

「どうせむりや」から「がんばってみるわ」へ~みんなで挑戦~

大和高田市立片塩小学校 旧6年生学年集団

「どうせむりや」「あかんできへん」といった声がよく出てくる6年生。本校には自尊感情の低い児童がたくさんいます。自分たちが主体的に考え行動する活動を通して、自らに自信をもち消極的な発言から積極的な発言の多い学年集団を目指してきました。なかまと力を合わせたり、もめたりする中で変化していく子どもたちについて報告します。

「みんなにもいっしょに数えてほしいなぁ」

天理市立山の辺小学校 菅原敏子

入学からずっと共に過ごしてきた子どもたち。5年目の今年も担任をすることになった。それぞれの個性はわかっているつもりではいたが、様々なことが気になって一度スイッチが入ってしまうとなかなか落ち着けないAへの接し方をずっと考え悩んでいた。「みんなにもいっしょに数えてほしいなぁ」。Aが発したこの言葉から気づいたことがある。

第7分散会

「Aちゃん、本気の目やで!」-A児との出会いを通して見えてきた過去~現在~未来-

橿原市立第4こども園 畝傍北幼稚園・大久保保育所 職員集団

25年前から始まり、今日まで受け継がれてきたごみの取組。取組の中で見えてきたA児とA児の母の姿を通して、当時の取組の思いを振り返るきっかけになり、今、私たちにできることは何か考え直しました。気持ちを新たに始まったごみの取組を通してのA児の姿や、これから引き継がれていかなければならない思い、当時からの願いなどを報告します。

一人一人の育ちを支えるために~保護者と共に考える~

葛城市立磐城第2保育所 金森真由美

子どもたちのありのままの姿を受け止める中で、子どもを取り巻く環境や背景が心の育ちや行動に大きく影響していることを強く感じている。子どもたちの行動をどのように捉え、どのように向き合うのかを保護者と共に考え、連携して取り組んだ日々を報告する。

話そう!遊ぼう!伝えあおう!~子どもをつなぐ友だちプロジェクト~

平群町立平群北小学校 柴 吉博

子どもと子どもが友だちになるきっかけにはどんなものがあるのか?「席が隣だったから」「一緒に遊んだ」「優しい言葉をかけてもらった」そんなきっかけを意図的にクラス内で作っていくことによってゆるぎない人間関係の土台を作っていきたい。そんな願いから友だちプロジェクトを立ち上げた。

第8分散会

「自分が好き!友だちが好き!Uchiが好き!」~学び合い、高め合う交流学習を通して~

五條市立宇智小学校 丸橋信之

自分の思いをうまく伝えられず、友だちとのトラブルが絶えなかったA君。友だちと意見を伝え合う交流学習を通して、自分の思いを受け止めてもらえたときの喜びを味わい、言葉で思いを伝えることの大切さに気付く。A君とまわりの友だちとともに、居心地の良い学級づくりを目指した取組を報告します。

一歩ずつ、成長しています

大和高田市立高田中学校 栗山泰幸

学校生活になじみづらかったA。気に入らないことがあると、暴言を吐いて教室を出て行ってしまいます。そのようなAと出会い、私はAの課題とともにAの持っている良さを知りました。試行錯誤しながらも着実に成長していくAと、Aを取り巻く学級の姿、教師としてAから学んだことについて報告させていただきます。

外部団体との交流

奈良県立奈良高等学校 平木一史・駒田結美

本校生徒による、たんぽぽの家、グループホーム「どんぐり」との交流と、奈良市社会福祉協議会等の協力により行っているHR活動について報告します。

 第4分科会 学校・園・所づくり    

 第5分科会 保幼こ・小・中・高・地域の連携と教育力

わかるって楽しいなぁ~子どもの主体性が育つ保育をめざして~

香芝市社会福祉協議会 志都美保育園 職員集団

生きる力(意欲・自信・自尊感情・友だちとのかかわり・生活習慣)の大切さを根底に置き、保育士との安心できる関係の中で一日の生活の流れがわかり、自ら考えて選んで遊べる子に育ってほしいと願い、どのように環境(人的・物的)を整えればよいか話し合い取り組んできた。

出会い、ふれあい、つながろう~地域の福祉施設訪問を通して~

生駒市立壱分小学校 花山浩一・奥畑恵里(現平城小)

同じ地域で暮らしていても、障がい者や高齢者が自分たちから離れた存在にある子どもたち。知らないために生まれる思い込みや偏見。そこから一歩踏み出していけるように「ふれ合うこと」「正しく理解すること」を目的として福祉施設訪問を行いました。自分たちができることを考えていく福祉の学習の取り組みを紹介します。

地域連携を深め豊かな人権感覚を育成する

五條市立五條西中学校 井藤千賀子・岡田直樹

開校当時から、本校に隣接している介護施設でのあるまきの苑とルポゼまきので高齢者と本校生徒との交流を継続して行ってきました。施設での体験学習をさらに充実させて、高齢者理解についての学習と高齢者と実際に交流する学習体験を行いました。この地域連携の取組について報告させてもらいます。

第6分科会 特別分科会

発達の遅れた子供たちの居場所

さわやか歯科 北村義久さん

少子化で次の世代の担い手を心配する中、発達の遅れた子どもたちが増えています。その子供たちの居場所がいまとても不足しています。この子供たちの居場所作りこそ解決すべき人権問題だと私は思います。

戦争は秘密から

ジャーナリスト/戦争をさせない奈良1000人委員会呼び掛け人 浅野詠子さん

集団的自衛権の行使を容認する閣議決定がされた2014年、文学者らが抗議の活動に乗りだし、それに共感し発足したのが私たち「戦争をさせない奈良1000人委員会」です。元気な大学生といっしょに集会を開いたこともあります。私の取材テーマの一つは情報公開制度です。安全保障関連法制と軌を一にする秘密保護法は「知る権利」や平和をどう揺るがすのか、いっしょに考えましょう。

子どもたちの健やかな成長を願って-寄り添うやさしさと立ち向かう強さと-

元少年院 院長/前丸亀市教育委員会教育長 中野レイ子さん

少年院などに勤務した経験から、非行や犯罪に関わった人たちが、自分自身と真摯に向き合えたとき、自らの行為を後悔し、その後の生き方に苦悩する姿に数多く寄り添ってきた。教育長就任後も一貫して子どもたちの健全な成長を願い具体策を講じてきた。この激変する社会の中で子どもたちの幸せのために教育者としてどうあるべきかともに考える機会としましょう。

全体会 特別報告

橿原市人教

シンポジウム「子どもの今を、私たちの今を見つめよう」

人権教育自主勉強サークル にじの会

にじの会は、2015年5月に発足した人権教育自主勉強サークルです。自分たちで考え、課題を見つけ、主体的に学び合うことを目的に、子どもたちとの関わり、学級経営、なかま集団づくりなど、教職員としての悩みや大切にしていきたいことを、これまで語り合ってきました。にじの会のこれまでの歩みを報告させていただき、また普段の会の様子(討論)もご覧いただきたいと思います。

全体会 記念講演

人権教育を軸にした教育実践について

中央大学 池田賢市さん

道徳教育は個人の心の状態に着目するが、人権教育は人権侵害・差別の現実を社会的問題と捉える。まずこの違いを確認する必要がある。しかし、現在の教育改革の方向性は、問題を個人化(自己責任)することで、権力行使する側を免責し、現状肯定に着地させようとしている。同じことが、18歳選挙権を機に言われ出した「主権者教育」の際の「中立」という要請のなかに読み取れるのではないか。これらの流れに抗するには、子どもたちの生活課題をしっかり捉えた人権教育が学校全体で共有される必要がある。このことを国家論などに言及しつつ考えたい