人権エッセイ集

2000年度 などちゃんのアイドルトーク 01

3月号「卒業シーズンの中で」

二月に入ってまもなく、アメリカの原子力潜水艦が日本の海洋練習船を沈没させるという「事故」が起こりました。そして、九人の行方不明者を出すという大惨事となる一方で、首相の対応をめぐって、政治問題となっています。

こうした出来事の影に隠れるように、ある火災で中学三年生が焼死するという「事故」が起こりました。

その火災の原因は、中学三年生が、ロウソクの灯のもとで受験勉強をしている際に、何かに引火して起こったということです。単親の家庭で、生活困難によって電気代が払えず、電気を止められた末の出来事だったと言います。

近年の少年「犯罪」の増加にともなって、少年法が改正されるなど、子どもたちを「管理」する発想が支配的になっています。しかし、この「事故」のように、生活が困難な中で、進路をなんとか切り拓こうとする中学生が存在することと、その中学生が命を落とすまでに、何らかの手だてがうてなかったのかという教育課題が、もっと明確にされなければなりません。

すべての子どもたちが、将来に胸ふくらませ、卒業式という門出を迎えられるようになっているか、一人一人の子どもの顔を思い浮かべたいと思います。

「地域改善対策奨学金制度」は今回が最後となります。これに替わる奨学金制度を、なんとしても創出したいと思います。

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