新年度が始まりました。各学校・園・所では、新入生(園児)を迎えて、新鮮な空気が流れていることでしょう。
今年は、一八七二年に学制が発布されて、百三十年めにあたります。日本の学校にとっては、百三十回めの出会いの年となります。
その年に、第三の教育改革と言われる完全学校週五日制をはじめとする、新しい教育課程の本実施となりました。ちなみに、第一の教育改革は学制であり、第二は戦後の六三制と言われています。
先日発刊された「内外教育」(時事通信発刊)にこんな記事がありました。要約すると、
「戦後改革が発足した一九四七年に発刊された学習指導要領国語科編(試案)の一節に、『新入児童の教師は、幼稚園の課程をよく理解しなければならない。幼稚園の経験を持たない児童に対しては、第一学年の仕事に幼稚園の発達的経験を、十分に加味することが大切である。』と述べられている。また、『国語学習の能力は個人で非常に違っている。例えば五年生の中には、三年生ぐらいの漢字力しかないものもあり、反対に中学二年生くらいの読書力をもつものもある』といった実態に即して、『それぞれの必要、興味、能力に適した速さと方法で学習できるように』と求めるのである。それまでの画一意識を一新し、子ども個々の発達に沿う指導の提唱を行っている」と、いうのです。
これらは、今回の教育改革の方向である、中高や小中一貫、保幼小の連携、更に習熟度別学習等と、同じことではないかと思ってしまいます。しかし、世の中は螺旋階段を上るように、変化をしていくと考えれば、内実の違うものが求められていると言えます。同じことをくり返さないためには、今、何が子どもにとって大切かを深く考えること、そして粘り強く取り組むことが必要ではないかと思います。文部科学省が、「ゆとり教育」と「基礎・基本の徹底」の間で揺れている今こそ、子どもや地域の現実に学ぶことが求められています。
百三十回めの出会いを新たな出発にしたいと思います。