人権エッセイ集

2003年度 アイドルトーク 02

2月号「雪合戦」

休日の朝、いつもより外が明るかったので見てみると雪が積もっていました。朝食も食べず子どもと外に行き、雪だるまをつくっていると、近所の子どもたちもたくさんやってきました。しばらくすると、一人の子が「みんなで雪合戦をしよう」と言い出しました。その子たちは、中学生と小学校の高学年の子だったので、「うちの子は(小さすぎて)入れてもらえないかなぁ」と思っていると、一緒になってチーム分けのジャンケンをしています。「どうせ当てられて泣いて帰ってくるんだろう」と思いながら見ていると、一緒になって楽しそうに遊んでいます。よくよく雪合戦の様子を見ていると、小さい子には近くから思いっきり当てたりせず、たまにワザと当たったりする「配慮」がありました。また、「もう一回ルール決め直ししようよ」とか「この子、何回当たってもセーフやったら、不公平やん」などと何度か集まっては、話し合いなるものももたれていました。

雪合戦が終わり、家に帰ってからもなお、「もうお兄ちゃんたち、出てこないかなぁ」と窓の外ばかり気にしている子どもを見ながら、もし「同じようにできない」「一緒に遊ぶと足手まといになる」という理由で遊びに入れてもらえずに「排除」されるようなことがあったら、うちの子はどう思ったのだろうと考えていました。最近の子どもたちは「テレビゲームばっかりで、外での遊び方を知らない」「兄弟も少なく、異年齢の子どもとは遊ばない」「一緒にいても個別で遊ぶことが多く、関係づくりが苦手」などとよく言われます。こうした状況は、学級崩壊やいじめなど子どもたちが示す様々な課題の一つの要因として捉えられます。

でも本当は子どもたちは、好奇心旺盛でみんなで遊ぶことが大好きなのではないでしょうか。「○○してはいけません」とやりたいことが制限されることや常に「勉強や運動ができる・できない」と評価されることになれていて、はめを外したり、何かに没頭することがないのかもしれません。「雪が降った」という特別な状況下であったからかもしれませんが、「できる、できない」などで「排除」せず、「配慮」によってどの子も楽しく遊ぶ工夫ができる子どもたちの様子を見ていると、少しホッとした気持ちになりました。

寒い雪の日の朝、少し心が暖かくなるそんな風景でした。

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