’87年の登場からまだ20年も経たないのに、携帯電話の進化には驚かされます。インターネットやメール機能に加えて、カメラは当たり前、今やテレビや道案内機能がついたものもあり、もはや単なる電話ではなく、小さな情報端末機と言えるものになっています。その携帯電話の大事な機能の一つに「日本語変換」機能があります。でもこれが、時々いたずらをします。誤変換というものです。例えば、レストラン「紫陽花亭」と書くつもりが「味最低」となったり、「文科省」と打つつもりが「門下賞」となったりします。しかしこれも、日々改良されていて、新しい機種になるほど間違いが少なくなっています。ちなみに、以前のものでは「保育士」や「看護師」は出ませんでしたが、最近は出るようになりました。いうならば、携帯電話も時代に合わせて人権意識が高くなっているのです。
もうひとつ、この変換ソフトには学習機能がついています。よく使う言葉がすぐに出るようになってきます。また、一文字めを入れるだけで、今まで使った言葉が頻度順に提示される機能もあります。この一覧を見れば、自分がどんな言葉をよく使うか、言い換えればどんなことを考えているのかということがわかってきます。表示される言葉の一覧から、自分の人権意識を確かめてみるのもおもしろいと思います。
一方、携帯電話は病院や電車内などでの使い方が問題とされるだけでなく、いろいろな犯罪の道具として使われることも多発しています。しかし、先日舞鶴で大惨事となった「バス水没事故」では、「道が冠水してなかなか進めない。」と家族に第一報を伝えたのは携帯電話でした。また運転手が「立ち往生している。助けてほしい。」とバス会社に連絡したのも携帯電話でした。さらに、「みんなバスの屋根の上に立ってなんとか持ちこたえている。全員無事だ。」と、安否が確認されたのも携帯電話でした。このように、人命を救う大事な場面で大切な役割を果たすのも携帯電話です。人間は様々な道具を発明し、発展してきました。時計も自動車もパソコンも携帯電話も、そして原子力も・・・。どんな道具も、使う者の意識やモラルが問われます。私たちの生活を豊かにするのも破壊するのも、その使われ方にかかっていると言えます。