学校ではトイレに行けず、家まで我慢して帰る子どもの話を時折保護者の方から聞くことがありますが、みなさんのところではどうでしょうか。
「恥ずかしい」「からかわれたりいじめられたりする」などがその理由に挙げられます。しかし、排泄は自然な生理現象であり、生きていく上で当然の、そして大切なことだととらえさせたいと思います。
一方、学校のトイレは「5K」(きたない・くさい・くらい・こわい・こわれている)だと指摘されることがありました。これらも学校でトイレに行かない大きな理由だと言われています。こうしたことを改善し、「明るい」「安心できる」「愛される」という、言わば、「3A」をキーワードに.学校のトイレを改善していこうという動きが広がってています。校舎の改修をきっかけに、窓の大きさやタイルの色を工夫して明るい雰囲気をつくる、洋式便器を増やす。換気をよくするなどの工夫が進められています。入口付近にベンチを置いたり、絵や工作などの作品を展示するコ.ナーを設けたりして、子どもたちがほっとできる場所にしようという取組も行われています。また、こうしたことをおとなが一方的に進めるのではなく、子どもたちにアンケートを行ったり、総合的な学習の時間を活用して子どもたちが主体的に「誰にも使いやすいトイレ」のアイデアを出し合.たりすることも進められるようになってきました。
ところで.わが国の子ども(15歳未満)の数は24年間連続で減り続け、4月1日現在1765万人となりなりました。総人口に占める割合も13.8%で、31年連続して低下しています( 総務省調べ)一方高齢者は、2400万人を超え、人口のおよそ2割に達しています。このような少子高齢化社会においては、高齢者向けの施策は拡充されますが、若年層の発言力が低下し子どもや青年層の意見が反映されにくくなると言われます。このことを社会学では、「プレストン効果」と言うそうです。こうした状況の中、わたしたちは今後も子どもたちの目の高さから見ることをわすれないようにしたいものです。
さて、言うまでもなく、排泄は食の延長線上にあって、.食べれば出るのは当たり前です。学校においても、楽しく食べる環境づくりと同様に、安心して行けるトイレの環境を子どもたちの願いを大切にしながら創っていきたいものです。子どもの生活の場である学校(園・所)において、プレストン効果が現われることのないように・・・・・・・。