最近の子どもたちは「むかつく」「いらつく」などの言葉をよく使います。実際に、そういう気分のときが多いのかも知れませんが、簡単に、しかも多くの子どもたちが同じようにその言葉を発するところが気になります。それらの言葉には腹立たしい、悔しい、悲しい、妬ましい、寂しいなどの感情が含まれているはずですが、そうした気持ちはうまく伝わってきません。自分の思いが表現できないとそれが「うっぷん」として、心の中に蓄積していくことにもつながります。やはり子どもたちには、自分の気持ちをきちんと言葉で話せる力や自分らしい言葉で綴る力を身につけさせたいと思います。
一方で、おとなの側がしっかりと受け止める姿勢も持ちたいものです。「能動的な聞き方」という考え方があります。「話をきくにあたって、話し手が思っていることを話しやすいようにきく、言葉にしきれなかった相手の思いを引き出せるようにきく、相手が自分自身を振り返れるようにきく、ひいては、お互いの関係を深められるようにきく」こんな聞き方をわたしたちが身につけたいものです.
長谷川博一さんの『たすけて!私は子どもを虐待したくない』によると、親やおとなに大切にされた経験を持つ人は、「その時の『大切にされた自分』のイメージが内在化され、それ以後もこのイメージで自分をとらえることができるようになっている。反対に『大切にされない』経験に満ちている人は、大切にされない存在としての自己のイメージをつくりあげてしまい、『自分を大切にする』ということが感覚的にわからない」そうです。
自分と自分以外の人を大切にできるように、子どもたちには「話を聞いてもらえた」「大事にされた」経験をできるだけ多くさせたいと思います。