大手ビジネスホテルチェーンが、ハートビル法などの法律や市条例で義務づけられている身体障害者用の施設や駐車場を完了検査直後に撤去していた偽装工事の問題はまだ記憶に新しいと思います。
当初、社長は悪びれることなく「身障者の利用は年にわずかしかないから」などの発言をしていましたが、問題が大きく報道され批判が高まる中、一転して深々と頭を下げ謝罪をする姿がありました。利益優先のための「偽り」がこの会社の社会的信用を大きく落としただけでなく、まだまだ「障害者」にとって暮らしやすい社会にはなっていないことが浮き彫りになりました。
また、私たちの身の回りでも、スーパーなどの「車いす用駐車場」に平気で車を停めている人を見かけることがあります。それだけでなく、「車いすマーク」のステッカーをわざわざ買い求め自分の車に貼ってまで駐車している人もいることが新聞などで報道されました。本当に必要としている人が困ってしまうことを考えずに、自分の利便性だけを考え、そのような行為をしているという事実に愕然としてしまいました。
ところで、ある小学校一年生の国語の授業で「正」という漢字を勉強した時にこんな光景がありました。先生の「正という字がつく言葉は?」との問いに「お正月」とか「正直」という答えが出ました。その中で先生が「自分が正直だと思う人?」とたずねると、数人しか手が挙がりませんでした。手を挙げなかった子どもたちに理由を聞くと「だってうそついたことあるもん」というなんとも正直でかわいい答えが返ってきました。
子どもたちの目には、先のようなおとなたちの「偽り」の行為はどのように映っているのでしょうか。誰しもうそをついたり、間違いをおかしたりすることはあると思います。しかし、子どもたちには、人権を侵害するような「偽り」は決して許されるものではないことを伝えていかなければなりません。
このような出来事が横行する今だからこそ、これらの事例を取りあげて 「人権を尊重する生き方」を子どもたちと共に考えていけるような取組が求められています。