最近海外では、食材や調理法が本来の日本食とはかけ離れた料理を提供している日本食レストランが増えているということで、農林水産省は「本物の日本食」を広めるため「正しい日本食レストラン」を認証する「海外日本食優良店調査・支援事業」を来年度から導入することを決めました。
しかし、反発も起きています。例えば、アメリカには現在「日本食」を掲げるレストランは9000店もあり、10年間で2.5倍にもなっているそうですが、ある店のスタッフは「日本政府の好みに味を合わせても意味はない。レストランは地元産業。地元の人が好む味に合わせ、創作するのは当然だ」と話しています。
また、「日本こそ外国の料理をよりおいしくアレンジしてきた素晴らしい歴史がある国。その国が、料理の安全性ならともかく、調理方法やメニューにまで口を出すのはおかしい」という指摘もあります。実際に、今は日本料理とされる「てんぷら」もポルトガルが起源だといわれていますし、インドにルーツをもつカレーライスはもはや日本の料理といえるものになっています。ラーメンは中国に逆輸入されるほどですし、たらこときざみのりがのったスパゲッティなどもイタリア人にはびっくりする取り合わせかもしれません。でも、インドや中国やイタリアから抗議があったとは聞いたことはありません。そう考えれば、あまり「本物」や「正しい」にこだわらず、アメリカ風日本食、中国風日本食というように気楽に認めてはどうでしょうか。あまりにいい加減で、おいしくないものはそのうち淘汰されると思うのですが、みなさんはどのように考えますか。
ところで、日系ブラジル人やフランス系アメリカ人、中国系フィリピン人などという言い方はしますが、○○系日本人というのはまだ聞き慣れません。「本物の日本食」の発想とどこ かでつながっているのでしょうか。