卒業・卒園の時期を迎え、各学校、園・所では様々な取組が行われていることと思います。その中で、卒業は自分たちが祝ってもらうだけでなく、今まで支えてもらったことに感謝する機会だととらえて、「家族への手紙」を綴って渡す取組があります。また、家族の方にお願いをして「子どもへの手紙」を書いてもらう取組もあります。家族にあらたまって手紙を書くということは、なかなかないのでその手紙を宝物としてずっと大事にしているということも聞きました。
さて、この1月、教え子たちの成人式に行ってきました。振り袖やスーツ姿に見違えてしまう子もいて、時の流れを感じました。その後、小学校6年生だった子どもたちと約束をしていたタイムカプセルを開けました。中には、その頃の写真や「二十歳になった自分への手紙」を入れていました。黄ばんだ手紙には、その時に考えていたことが自分の文字で残されています。「こんなん入れたん全然覚えてへんかったわ」と照れながら、甲子園に出てプロ野球選手になっていることを想定して書いた手紙を見せてくれた子や、将来の夢だった看護師を今もめざして努力を続けている子、それぞれに「自分への手紙」を読んでいる姿を見ながら再会のひとときを楽しんでいました。
手紙を読むことで「なつかしい!」と当時の記憶がよみがえって話がはずみましたが、担任をしていた時、この子らの思いをどれだけ受けとめることができていただろうかと自分に問い返していました。
また、手紙は「その時」を刻み込み、伝えるタイムカプセルともいえます。幼稚園を卒園する時に先生が一人一人に書いてくれた手紙を今も部屋に飾っている中学生もいます。手紙を見るたび、その先生に大事にされたことだけでなく、当時の楽しかったことや級友の顔が思い出されて、元気が出てくるといいます。
卒業文集に書いた自分の言葉や、寄せ書きの中の友だちや教師・保育士の一言も数年先には「思い」のこもった自分への「手紙」となっていきます。開けるたびに温かい「思い」が飛び出すタイムカプセルとなりますように…。