4月、新しい学年が始まり、今年は「図工」を受け持つことになりました。
さっそく昨年の指導計画を見せてもらうと、6年生のはじめの学習内容は「人権ポスター」でした。
何から始めたらいいのかと考え、最初の授業では、まず「人権」について話し合うことにしました。「子どもたちに『人権』をどう伝えたらいいのか…?」と悩みながらの授業でしたが、授業が始まると、みんな思ってることをどんどん話してくれました。子どもたちから出た意見をまとめると、「人権」とは、「一人ひとりが楽しく、明るく、幸せに生きるための権利」ということになりました。「楽しく、明るく、幸せに生きることができないようなことが今までの自分の生活にあった?」と聞くと、「全然ない」という子もいましたが、「5年の時に友だちに無視されたことがあって…」「友だちが悪口言われてたとき、怖かったから止められなかった、その子はきっと楽しくなかったと思う」「飼ってた犬が急に死んでしまってすごく悲しかった」など、自分の素直な気持ちを話してくれた子もたくさんいました。この話し合いを通して、「何を描いていいかわからん」と言っていた子も自分の描きたいことが徐々にはっきりとしてきたようでした。
ところで、「子どもは生まれながらにして表現する意欲は持っているけれども、表現の仕方(方法)を身につけて生まれてくるものではない」と言われるように、思ったことや考えたことを相手に伝わるように表現する力は自然と身につくものではありません。喜びや悲しみなどの感情を表現し、伝えることはとても難しいことです。ポスターを描くときにも構図や色づかい等の知識や技能を身につけることが大切です。
また、それだけでなく自分が何を伝えたいのかを明らかにすることも必要です。そのためには、先の授業のようになかまとともに自分の生活を振り返り、「何に驚き、何を感じ、どんなことを考えたのか」と、自分の内面を深く見つめることが大切です。その中で、子どもたちの「ものの見方、感じ方、考え方」が豊かになり、伝えたかったことが明確になっていくのだと考えます。
人権ポスターの取組を通して、子どもたちが、自分のくらしや願いに気づき、自分らしい表現力を身につけていくことを期待したいものです。