人権エッセイ集

2013年度 あいどるとおく

9月号「つながることから」

この夏、「なかま」や「つながり」の大切さを、改めて感じることがありました。

7月下旬から関東方面で 行われる長期の研修に参加 することになり、この機会を利用して、東日本大震災 の被災地を訪れたいと思っていました。奈良から研修に参加したなかまと、一緒に行ければいいなあという 話もしていました。しかし、 関東や東北から研修に来られていた方にその思いを話してみると、時間もかかり、距離も遠く、通れない道も あるので、難しいのではないかという答えがほとんどでした。行きたいという思いはあるものの、行って何 ができるのかもはっきりしていませんでしたし、そのままあきらめてしまいそうになっていました。

ところが、岡山県から来られていた方が、被災地を訪れるなかまを募っておられ、私にも声がかかりました。そして、富山県や福岡県の方もいっしょに、6人で被災地を訪れることになりました。

1泊2日の日程で、宮城県石巻市を中心に、いくつ かの場所を訪ねて回りましたが、現地の様子を実際に見るだけでなく、仮設住宅に住んでおられる方と話をさせていただいたり、現地でボランティアを続けておられる方の話を聞かせていただいたりすることもでき ました。復興に向けたさま ざまな取り組みは進められていましたが、2年半近く経った今も、未だ道半ばという現状を知りました。実際に被災地を訪れたものの、何もできなかったというのが現実でしたが、現地で見聞きしたことを、学校の子どもたちをはじめ、周りの人たちに伝えていきたいと思いました。

私にとってこの経験は、とても貴重なものでしたが、私一人では決してできないことでした。思いを言葉にし、同じ思いをもっているなかまとつながれたからこそ、実現したことだと思います。そして、そのつながりから、新たなつながりが生まれ、石巻で素敵な 人たちと出会うこともできました。

この旅を通して、改めて、つながることの大切さを実感しました。そして、子どもたちにも、つながることのすばらしさを伝え、人とつながれる力をつけていきたいと思いました。

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