今年も長い夏休みが終わりました。二学期を迎え、子どもたちの元気な声が校舎に響き渡っていると思います。
今年二〇一四年は、第一次世界大戦勃発から一〇〇年であるとともに、日清戦争開戦一二〇年となります。これらの戦争は、脱亜入欧の思想のもと、覇権主義の台頭によって、第二次世界大戦・太平洋戦争へとつながりました。数え切れないほどの尊い命が失われた上での敗戦へという悲惨な結末を迎える出発点であったと言えます。
ところで、今年一月にイギリスの教育相が、「第一次世界大戦は、明白に正しい戦争」と主張したことが、報道されました。「正しい戦争」という言葉に違和感と、憤りを感じました。オバマ米大統領もノーベル平和賞の受賞式で同様の発言をしています。
「正しい戦争」「正義の戦争」とは、存在するのでしょうか。戦争は、理性と良心を奪い、人と人が互いに殺戮を繰り返し、憎悪を重ねるだけで、「正義」も「正しい」も存在しないと考えます。
アメリカ人映画監督オリバーストーンさんは、「力の正義の対極は、優しさと寛容」であり、「現代人は、他人の痛みを感じる力が弱いのでないか」と述べています。過去のどの戦争も、人々の不寛容さがもたらしてきたと言われます。
他者の痛みを感じる力をはぐくみ、寛容な態度を培う人権教育が今求められます。
「戦争は最大の差別である」という言葉こそ深く心に刻まなければなりません。