人権エッセイ集

2015年度 あいどるとおく

1月号「いのち」

昨年、パリでのテロ、その報復としてシリアへの爆撃で多くの尊い命が失われました。
 

毎年、世界では一秒に4・2人の命が誕生し、1・8人の命が亡くなっているそうです。今年こそは、人の命が戦争や飢餓などで失われることなく、人がその命を全うできる幸せな一年であってほしいと願います。
 

以前、「いのちって何?」と子どもに問われた事がありました。皆さんならどんな答えを返しますか?

「命」という漢字の成り立ちは、令と口という説があります。令は儀礼用の深い帽子をかぶり、ひざまずいて神のお告げを受ける人の形を表しています。口は神への祈りの言葉を表しているそうです。天に祈り、授けられているものが「命」という漢字になったと考えられています。
 

お笑い芸人のゴルゴ松本さんは、少年院に自ら出向いて、漢字を使った命の授業をされています。

「命という字は、𠆢に一と叩。これは叩いて、相手を痛めつけることで命を感じるとか、そういうことじゃございません。お母さんのお腹の中にいる時から、トックントックン。寝てる時もずっと働き続けてくれている心臓の、トックントックン、この一叩き、一叩きの連続が命なんです。」
 

だるそうに聞いていた少年たちが背中を伸ばし、真剣に聞き始め、メモを取っている場面がテレビでも放映されていました。
 

学校・園・所でも様々な「命の授業」をされていることと思います。
 

誕生してからの成長を聞き取る授業、牛の命をいただいていることに気づく授業、生と死について考える授業…家族を亡くした自分の体験を語られている先生もいます。どんな年齢の子どもにとっても大切な取組だと思います。
 

新年を迎え、慌ただしい日々を過ごされていることと思います。しかし、命や人権について取り組むことは、何よりも伝えるべきことではないでしょうか。
 

命の尊さを伝え、子どもと共に「いのちとは何か」を考える年にしたいと思います。

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