事業報告

第67回奈良人権教育研究大会 報告等の概要

第1分科会 教育内容の創造と学習活動

第1分散会

識字学習を通して

奈良市内小学校

本校の5年生では、人権学習として識字学習を行います。その中で識字学級に通う方々にお話を伺い、自分たちにとって当たり前なことだと感じていた「学習や学校、文字」などについて考えました。識字学習を通して児童が感じたことや、識字学習を通して変容する児童の意識、今後の課題を報告します。

部落問題を若い世代に伝えるにあたって

生駒市内中学校

江戸時代の歴史教育の中で、身分制度を「士農工商・エタ・ヒニン」と教えてきましたが、最近の史料から、それがまちがっていた事や、部落の起源を授業でどのように展開させていくかをお話しします。

『しょうじき自分でもまだ答えを見つけれていません。』反戦・平和学習~人との出会いを中心に~

橿原市内小学校 旧6年生学年集団

戦争という最大の差別問題を通して考え合っていくことは、子どもたち一人一人が自分自身の生き方を見つめることにつなげられると私たちは考えた。そのため、「過去にあった戦争から考える」学習を子どもたちと共につくっていった。その中でこだわって取り組んだ平和活動や、被爆証言者さんとの出会いを中心に報告したい。

第2分散会

「どうせまた俺が悪いんやろ」から「なぁこれわからんねんけど」へ

北葛城郡内小学校

1学期はなかまに頼ることができずにいたAが3学期には自分の弱さをみんなにつぶやくことができるようになり、「ここわからんねんけど、どう思う?」と隣の子に訊けるようになった。問題解決型の人権教育と学び合いの授業を軸として過ごした中でのAとクラスのなかま、そして私自身の変容を報告する。

本校の「多様な性についての人権学習」について

大和郡山市内中・高等学校 人権教育部

本校では2016年度より「多様な性についての人権学習」に取り組んでいます。はじめて扱うことに不安を感じながら実施した4年前から今年度までの様子を報告します。教員が留意したことや実施後の感想、生徒の気づきについて、また人権ホームルーム中での生徒のカミングアウトから私たちが学べることについても報告します。

第2分科会 進路学力保障

ひとりひとりが輝くために

天理市内小学校

みんなで達成感を味わい、ひとりひとりが輝く場所になってほしいという想いをもって取り組んだ音楽会。学級の中で特に音楽の授業になじめなかったAが合唱のピアノ伴奏をすることになった。初めてのピアノに取り組む中で、何度もぶつかりながらやり遂げることができたAの心の変化について報告したい。

天理市内小学校

「もう1年生のとこ、行きたないわ」6年生が1年生の手伝いをして帰ってきた時の一言である。下の子のお世話が好きな6年生にそう言わせた1年生。そんな1年学級を好き勝手にしていたAが2年生になって、変わりたい自分と斜に構えたい自分とで葛藤する中には、1年生の時には見せたことのなかったいくつもの涙があった。

「誰一人見捨てない世の中」集団づくり

宇陀市内中学校 教師集団

本校では、2017年度より「学力向上」をテーマに様々な取組を行ってきた。この取組において最も大きなテーマは、「誰一人見捨てない教育」であり、子どもたちが自主的に勉強すること、及び他の生徒と学び合いを行うことを通して、他者と協力し、助け合いながら生きてける生徒の育成をめざした。そのまとめである。

第3分科会 自立と共生をめざす集団づくり

第1分散会

ちがいをみとめあう -不登校・外国にルーツを持つ子 そして・・・-

生駒郡内小学校

本校の3年生には、不登校児、外国にルーツを持つ子、低学力、気に入らないとすぐ暴力をふるう子など、さまざまな子がいます。遊べばだれか泣く。そんな子どもたちが学年での取組を通してトラブルを起こしながらもお互い認め合い、支え合ってきた10ヶ月です。

自分の思いを書くこと・友だちの思いを知ることを習慣に

宇陀市内小学校

自分の思いを、表に出すことが苦手な子どもたちと出会い、書くことを通して思いを表せるよう「成長ノート」に毎日綴らせた。その思いを互いに知ることができるように、毎日「学級通信」を発行した。1年間の取り組みの中で、それらを土台として「島ひきおに」などの教材に取り組み、なかまと考えや思いを交流し合った。

何があったん?  ~周りとの関わりから見えてきたもの~

葛城市内中学校 第3学年集団

本校の3年生155名は毎日楽しく学校生活を送っている。しかし、その中には、家庭の悩みを抱える生徒や、友だちや先生になかなか相談できないでいる生徒がいる。そんな生徒たちに学年としてどのような声かけや支援ができるのかを考え、入学時から接してきた事例をもとに生徒の変容について本学年の取り組みを報告する。

第2分散会

積んでは崩れ、そして積み直す。少しずつ高くなる。

宇陀市内小学校 旧6年1組担任

不登校や不登校傾向の子、友だちに心ない言葉をぶつけてしまう子、心がしんどくて保健室に行く子、困りごとを口にできない子…。さまざまな課題を抱えた6年生との出会い。「子どもに寄り添う」ことを大切にし、謙虚になろうと努めた1年間。学級の子どもたちとともに学んだことをお伝えできればと思います。

One for all,All for one ~一人ひとりが主役になろう~

大和高田市内小学校 旧4年生学年集団

1年生の頃から個性があふれ、さまざまな課題をかかえた児童たち。4年生となり、高学年になかま入りしたことを意識させ、自分に自信を持ち、「やる気」を引き出していくこと、またそれぞれのいいところを見つけて互いにほめ合い、助け合うようなステキななかま集団をつくっていきたいと考え、行った取組について報告します。

共に認め合い、支え合える集団を目指して

生駒郡内中学校

子どもたちは大人しく真面目であるが、他者への関心が低いように感じられた。そんな生徒たちが「自分も他人も大切にすること」、「互いに認め合い、支え合うことができる集団」となってほしいという願いを持って日々の活動に取り組んだ。その中で教師自身が感じたことや、改めて大切だと感じたことを紹介したい。

第3分散会

『決めつけ』からの脱却

御所市内小学校

今の自分よりも成長した自分になりたいという本人の願いを支援していくため、保護者や原学級担任と連携しながら関わりを深めていくなかで、Aの溢れる思いに気づかされた。子どもを見るということの難しさを痛感し、試行錯誤しながら取組を進めていく過程を報告したい。

「ぼくにやさしいこころないもん」 ~子どもたちの姿を通して、子どもどうしがつながることの意味をあらためて考えた~

磯城郡内小学校

初めての小学校生活に、自分の気持ちを抑えきれず、動き回り、暴力をふるってしまうA。思うままに自分を出しながらつながっていく子どもたちの姿を通して、つながることの意味をあらためて考え直した。

多様な性に学ぶ

桜井市内中学校

多様な性というアプローチから、「自分らしさ」や「人とのちがい」を考え、“認め合う”ことの大切さを学び、みんなが安心して「ありのままの自分」でいることができる集団づくりをめざして取り組んだことを報告します。今後も普段の生活や授業を通して、一人ひとりに多様な性が存在することを他人事でなく、自分たちに関わる身近なことであると伝えていきたいと思います。

第4分散会

FOR YOU 友優結 ~だれもが関わり合えるよう~

香芝市内小学校 旧4年生学年集団

明るく友だち想いだが、実はコミュニケーションに自信がもてず、失敗や挫折を恐れて慎重に行動する子どもたち。総合的な学習の時間で取り組んだ他者理解(障がい者理解を含む)、自己理解・自己回復力(レジリエンス)の取組を通して「FOR YOU」(相手のことを知り、考えて行動する)を目指した日々を報告します。

しんどさに寄り添える日が来るまで・・・

御所市内小学校

「学校の願い」と「保護者の思い」がうまく繋がらないまま、認識のズレが大きな溝になる。保護者との関係に悩みながら、「どのように寄り添えばいいのか」と日々葛藤を繰り返してきた。学級担任、特別支援担任両方の立場に立ち、教職員集団で関わり、子どもたちとともにくらしてきた3年間の取組について報告する。

レジリエンスを育む人間関係プログラムに取り組んで

橿原市内中学校 旧2年学年集団

自分の気持ちの落ち込みに直面した際に、問題解決せずに逃げてしまう生徒が多いと感じる現状から、レジリエンス(立ち直る力)を育むための人間関係プログラムに学年全体で取り組んだ。班活動が苦手で、パニック時には大声で泣く・イスや物を投げる行動を取る生徒Aの成長と共に学年の生徒たちにも見られた成長を報告する。

第5分散会

本当の気持ちは?~共に育ちあうなかまづくりを目指して~

天理市内幼稚園

昨年度担任をしていた年中○○組は、何事にも慎重で失敗を恐れたり、諦めてしまったりする。どこか教師の顔色を伺いトラブルもあまりない。幼児の心の中に本当は自分の思いがあるはずではないか、もっと素直に自由に出せる雰囲気づくり、なかまづくりを目指し、子どもたちと向き合ってきた一端を報告したい。

「みんな きらり」~お互いを尊重し、認め合い協力できる集団をめざして~

大和郡山市内小学校

2018年度新入学児童63名のうち、5名の児童が特別支援学級在籍であった。その中に特別支援学校入学相当のA児がいた。A児を含めてどの子も安心して過ごせる居場所づくりの為に、学年としてお互いの違いやよさを認め合いながら協力できる集団を目指し、コミュニケーション能力を高める取組を積み重ねた。現在、入学から2年半が経過したA児や集団の変容等について報告をする。

「あした”なかよしタイム”やな」

磯城郡内小学校

2年生から入級のA児は、1年時は常にTVやDVDの世界の中におり心ここにあらず、一人ひょうひょうと人の間を走り抜け自分のしたいことをしていた。人との関わりに興味のないH児が「明日、なかよしタイムやな。」と声をかけてくれるようになる。なかよしタイムを通して見えてきた子どもたちの成長を報告する。

第6分散会

一人ひとりが強い集団づくり

御所市内小学校

外国から来た日本語を理解出来ないA。彼女をとりまく環境を理解し子どもたちとどのように繋げていくか。被差別部落出身で母子家庭の厳しい環境の中暴言暴力でしか自分を表現できないB。背を向けず立ち向かってほしいからこそ何とかしたい。2人の成長を通して「一人ひとりが強い集団づくり」をめざす報告をします。

『一緒に読もう』Aを学級の一員へ 共に歩む一年間

天理市内小学校

集団からふらっと離れ、自分からは決して近づいてこようとしないA。日系ブラジル人4世として日本に生まれ、保育所ではASDの疑いがあるとされた。そんなAが12月、絵本の音読会で読んだのは、1学期に学習をした「大きなかぶ」だった。1年をかけてゆっくりと心を開いていったAとAを取り巻く学級の取り組みを報告する。

Aとの関わりの中で

五條市内中学校

外国にルーツをもつAの日本での戸惑いや不安となった要因などを通して、級友、保護者、日本語支援員、教員との関わりの中で見えてきたことや、Aが入学してから今現在の様子、また、私たちが考えなければならないことについて報告します。

第7分散会

本を活かして子どもが生きる

五條市内小学校

本報告では、「読書」に関わる活動の中で、自分を表現することに抵抗がある児童が、達成感を得て自信をもち始めた実践を2つ取り上げる。それぞれが達成感を得るまでの過程として、児童の興味を教材として扱ったり、生徒指導の三機能を踏まえたPDCAサイクルを活用したりなど、指導の工夫が児童の変容へとつながった。

自己肯定感を育む教育活動

香芝市内小学校 第6学年学年集団

昨年度の6年生には、自己肯定感が低く、子どもらしい活発さに反して様々な場面での積極性に欠け、指示待ちをすることが多い。そこで本実践では、自己決定の場、承認の場を教育活動の中に設定し、自己肯定感を育むことを狙いとする。

自己から社会へ、そして自己へ

宇陀郡内小学校

普段は、明るく振る舞いながらお互いに優しく支え合う関係を築いてきた2名の学級。厳しい家庭背景、心身の変化からの精神的不安定、自己否定的な言動することも多々あった。そんな子どもたちとしっかり向き合い、自己肯定感を高めようと取り組んだ内容を報告します。

 第4分科会 学校・園・所づくり    

     今年度、分科会報告はありません。

 第5分科会 保幼こ・小・中・高・地域の連携と教育力

     今年度、分科会報告はありません。

第6分科会 特別分科会

多様な性を知る

れいんぼー神戸 内藤れんさん

近頃LGBTQという言葉をよく聞くようになりましたが、みなさんは正しく理解していますか?LGBT以外にもセクシュアリティはたくさんあります。ひとりひとり違う性自認や性的指向、それによって表れる課題について、体験談やデータからお話しします。また、最後に質疑の時間をしっかりととりますので、気になることを解消していただければと思います。

『つながりあって生きている  ~障がい者理解にむけて~

初瀬太鼓麟角舎 松田浩資さん NPO法人ライフサポートあんしん 安西美奈子さん

「障がいを持って生まれた勇人には、大好きな初瀬の地で伸びやかに育ってほしい…。」そんな母の願いと努力によって、勇人君を真ん中に据えたふれあいの輪が生まれました。大きなきっかけは和太鼓であり、ベースには親子をやさしく見守ってくれている地域の人たちや学校の温かい眼差しがありました。この分科会では、「つながりあって、共に生きている」ことの心地よさを伝えていきます。

「部落差別の解消と教育内容の創造-桜井市域の歴史・文化を踏まえて-」

天理大学 奥本武裕さん

「部落差別の解消の推進に関する法律」、「奈良県部落差別の解消の推進に関する条例」が制定され、部落差別の解消に向けた取組が新たなフェーズに進むことが要請されています。2020年という現時点に立って取組をいかに展望するか、部落差別の現状や桜井市域の歴史・文化などを踏まえて考えていきたいと思います。

全体会 オープニング

桜井市人教

和太鼓演奏「つながりあって生きている」

初瀬太鼓 麟角舎のみなさん

   第6分科会 特別分科会で講演

全体会 特別報告

桜井市人教

授業づくりは学級づくり~「学び合う学び」のある授業を核に据えた学級づくり

桜井市立大福小学校 堀川英男さん 鳥﨑恵梨奈さん 玉井敏親さん 

本校は「聴き合い学び合う授業づくり」に取り組んで10年目を迎えました。当時、授業から飛び出す児童、暴れる児童、そういう児童を見て見ぬふりをする冷たい人間関係・・・アレた児童の現実がありました。その状況を克服し、児童どうしのつながりを深め、進路を切り拓く学力をつけるために、「『学び合う学び』のある授業を核に据えた学校づくり」を継続して取り組んできました。「授業づくりは学級づくり~聴き合い学び合う授業づくりを通して見えてきたもの~」と題して授業を通した集団づくりと、本校の地域教材を通した取組「「人がつながる町」を報告します。

全体会 記念講演

現代社会の「部落差別」を考える

大阪市立大学 阿久澤麻理子さん

①「変容する差別」に向き合うために

②「土地差別」/インターネットを例に