事業報告

2008年度 奈人教 事業報告

平和・解放教育講演会

平和の尊さを語り継ぐために

8月6日、桜井市民会館において、第29回平和・解放教育講演会を開催しました。映画「沖縄戦 未来への証言」の上映の後、関西ひめゆり同窓会会長・元ひめゆり学徒隊の新川初子さんから「ひめゆりたちの沖縄戦 ~命ど宝~」と題して講演をいただきました。

平和・解放教育講演会平和・解放教育講演会

映画は、アメリカの国立公文書館に保管されていた戦場の記録フィルムをもとに、沖縄戦の全体像を描き、沖縄の過去・現在・未来をみつめ、全世界に向かって平和のメッセージを送ることを目的に製作されたドキュメンタリー作品です。世界に誇る独特の文化と歴史を持つ豊かな沖縄の心をしっかりと確かめつつ、生命のなにものにもかえがたい大切さや、生きることの幸せが、未来へ向けて描かれています。
新川さんは、1945年3月「ひめゆり学徒隊」として陸軍病院に動員され、負傷兵を看護しながら、「この世の地獄」としか言いようのない悲惨な体験をされました。戦後、大阪市内の各小学校に勤務された後、全国の学校や地域社会で沖縄戦の体験を、今は亡き恩師や学友の声なき声を声にして語り継ぎ、平和への思いをこめて積極的に活動されています。
講演の中で「これが本当の沖縄戦です」と当時の悲惨な体験を語られました。そして最後に「自分の命を大切にすることができる人は、人の命も大切にできる人です。人の命を大切にできる人は、人の気持ちもわかる人です。一人一人がそういう人であれば、『戦争反対!』と言わなくても、自分の周りから平和が訪れてくると思います」という言葉で締めくくられました。
国内においては戦争体験者や被爆者の高齢化が進み、戦後生まれが7割を超えたといわれています。平和の大切さや戦争の悲惨さを実感することが難しくなりつつある今だからこそ、改めて命の尊さについて考えていきたいと思います。

【参加者のアンケートから】
○戦争を全く知らない私にとって、自分たちの知らない過去の映像を目にし、改めて悲惨な状況を思い知りました。「過去のことだから関係ない」や「知らない」では済まされない、この先も私たちが知り、伝えていかなければと感じました。
○その場におられ、本当の戦争の体験をしてこられた方のお話は真に迫るものがありました。真実は語りつがれなくてはなりません。
○8月6日という日に、こういう出会いができたことに深く感謝しています。戦争の教訓を子どもたちに語り継ぐ、そんな中継役が私たちのような戦後世代の教師の役割ではないかと思っています。