「家、何人で住んでるん?」
「3人やで、お母さんとおれと妹」
「お父さんは?」
「お父さんおらんねん。」
「・・・。」
小学校低学年のとき、母子家庭だった私が友だちとした会話。すごく気まずい空気になったことを今も覚えています。父がいないことを言うと、気まずくなると悟った私はいつからか架空のお父さんを作って話していました。
教員になって、クラスの子どもたちに家族のことを聞かれました。「小さいときからお父さんいてないねん。」そう言うと、「私もお父さんおらんー。」「ママの彼氏みたいな人がおる。」「お父さんいるけど、仕事で全然帰ってこやんねん。」自分のことを正直に話すことで、子どもたちも赤裸々に自分のことを話すことに驚きでした。と同時に子どもに自分とはどういう存在なのか話すことで、子どもも心を開いてくれると感じた瞬間でもありました。
先日、「つながり」の研修で、今年度奈人教研究大会での特別報告「であい 語り」を岡井さんに報告していただきました。学級開きの日、「第一声」で自分の生い立ちやこれまでの経験を語ることで集団づくり、なかまづくりをしていく内容でした。Aが中学校3年間を通して、先生とつながり、友だちとつながり、A自身が変容していきました。岡井さんの報告が終わると、参加した先生はレポートについて質問し、さらに自分についてどんどん語り出しました。自分の生い立ちや経験や悩みをたくさん話してくれました。「語り」がどんどんつながる時間でした。そして語りの力を感じた時間でした。
もうすぐ新年度が始まります。学級開きのとき、自分を語る「第一声」の取り組みから始めてはどうでしょうか。子どもたちが自分のことを話したり、伝えたりしてくれる出会いになるかもしれませんね。