4月から奈良県におけるパートナーシップ制度が導入されました。性的指向や性自認に寄らず、お互いを人生のパートナーとし、日常の生活において相互に協力し合う「パートナーシップ関係」を宣言した二人について県が公的にその関係を認める制度です。ただ、アジアにおいて3例(台湾・ネパール・タイ)ある同性婚のように、法的に関係を保護するものではないため、権利が大きく阻害されたままだともいえます。日常的に抱える生きづらさや困りごとが少しでも解消されるように、今後も様々な行政施策の拡大が求められます。
ところで、自治体によってはさらに二人に子や近親者がいる場合に「家族」であることの関係を証明するファミリーシップ制度を導入するところもあります。この「家族」という言葉ですが、現行民法には一度も登場せず、その境界には絶対の回答がないことを最近になって知りました。たしかに、「家族」は身近であるがゆえにとても曖昧な言葉だなと思います。では外国ではどうかと考え、「ファミリー」の語源を調べたところ、「ファミリア」が言葉の源流であり、それは「召し使い」を意味することを知りました。時代によって家族の形や意味が変遷し、その概念もまた揺れ動くものなのだなと感じますし、今後さらに変化してゆくのでしょう。
「パートナー」や「家族」だけでなく、子どもたちは様々な関係性の中で育ってゆきます。その一つ一つが温かい雰囲気に包まれ、子どもたちが自分の思いや考えをのびのびと表現できる場となるよう各校園所では今年度の実践が進められていることと思います。そんなことを想像しながら、年度初めの広報「なかま」の編集に取り組みました。一年間の奈人教活動へのお力添えをよろしくお願いいたします。