3月に、担任した6年生の子どもたちが卒業していきました。立派に卒業していった姿に嬉しい反面、少し寂しい気持ちにもなりました。しかし、また4月には新しい子どもたちに出会います。出会いといえば、卒業した子どもたちも6年生の1年間で多くの人と出会いました。特に平和学習では、修学旅行で、被爆証言者の方や、ハンセン病問題の学習では、ハンセン病回復者の方と出会い、子どもたちと多くの人権課題について学習することができました。
人との豊かな出会いは、自分の生き方や考え方を見つめ直すきっかけになると思います。私も自身の生き方に影響を受けた出会いが多くあります。その中でも教員2年めの時に同じ学年を組んだ先生との出会いを紹介したいと思います。
水泳学習をしている時に、当時担任をしていた子どもがプールの中で少しふざけた行動をしていました。それを見た私は命にかかわると思い、その子どもをプールから上げ、「もう学習に参加しないで、教室に戻りなさい。」と強く叱責しました。その日の放課後、一緒に学年を組んでいた先生から「今日の指導なぁ、命にかかわるから注意は当然やけど、教室に戻させるのはちょっと考えた方がいいぞ。子どもには学習権があってそれを保障せなあかんのに、教室に戻させて学習する場から離れさせるのは、その権利を奪うことになるぞ」と言われました。当時の自分にとっては当然の指導だと思っていたし、そんな権利のことなど一切考えていなかったので、とても衝撃を受けました。そのことだけでなく、その先生からは子どもや保護者との向き合い方、教育に対する考え方、人権教育の大切さなど様々なことを学びました。その先生との出会いがなければ今こうやって『あいどるとおく』を執筆していることもなかったと思います。
ある先輩の先生に、「なんで人権教育って大切なんですか」と訊ねたときに「人と出会った時に、ほんまは豊かな出会いになるはずなのに、偏見や差別心をもって出会ったら豊かな出会いにならない。豊かな出会いをして、みんなが幸せになるために人権教育するんやで」と教えてもらったことがあります。
今年も子どもたちと出会うことはもちろん、どんな出会いを子どもたちと一緒にするのか、これからの出会いにとてもワクワクしています。