学校・園・所で働く私たちは子どもの笑顔に癒されることがとても多いと思います。上手くいかないなと感じていても、子どもの笑顔で気持ちがスッキリすることもしばしばです。反対に子どもたちはどうでしょうか。私たち身近な大人の笑顔は、ともにすごす子どもたちにしっかりと届いているのでしょうか。
2年生の担任をしているときのことです。人と話をするときに、聞く側の表情はとても大切だよという話をしている場面で、1人の子どもが「私、先生の笑顔好きやで!」と話してくれました。突然のことで驚いたのと同時にとても嬉しかったことを覚えています。どうしてそんな風に感じてくれているのか問い返してみると、「先生の笑顔ってほんまに面白そうに笑っているから。」と答えてくれました。当たり前のことかもしれませんが、毎朝出会う先生が穏やかな笑顔で教室に入ってくるのか、不機嫌そうに怖い顔をして入ってくるのかで教室の雰囲気は大きく変わってしまいます。子どもたちが安心して生活できるはずの教室が気を遣う場所になってしまいます。私もそれまでの自分の表情を振り返り、子どもと接するときの表情にこれまで以上に気を遣うようになりました。
私たち教育・保育者は子どもたちが安心して生活するための非常に重要な環境の一つと言えます。もちろん、1日中笑っていることはできません。けれど、私としては1日のどこかで自分が本気で笑顔になれる時間をつくろうとしています。きっとそれは子どもに届くと信じています。
昨年度、奈人教夏期研修会でご講演いただいた『特例認定NPO法人 A S O V I V A』の長村知愛さんのお話の中でも、「子どもにとって、人はもっとも重要な環境要素である」と語っておられました。子どもたちは身近にいる大人の価値観や振る舞いを敏感に感じ取りながら、自分の価値観をつくっていくということです。子どもたちの笑顔を増やすために、まずは私たちが笑ってみませんか。