第72回報告等の概要

第72回奈良人権教育研究大会 報告等の概要

第1分科会 教育内容の創造と学習活動

第1分散会

○○中学校の取り組み ~自分もなかまも大切にできる学校をめざして~

生駒市 中学校

本校で毎年六月に講演や道徳の授業で行っている「いのちの大切さを考える月間」では、これからの時代を生き抜く課題を抱えた生徒を含む子どもたちのために、日々の中で子どもたちがあらゆる面で前向きに認め合いながら生きていけるよう、学校として取り組んでいる。その中で日頃から大切にしている事を紹介していきたい。

しんどいときには、いつも子どもが助けてくれる ~子どもたちが教えてくれること~

天理市 小学校

一昨年は、これまでで一番しんどい1年だった。6年生のクラスの子どもたちとつながれず、何をどうしたらいいのか、わからなくなった。不安を抱えながら昨年度、2年生の担任となった。もう、子どもたちと全力で向き合えないかも…。そう思っていたときに救ってくれたのは、やっぱり子どもたちだった。

子どもをみる眼について考える

御所市 小学校

日々の指導に悩み、苦しみながら子どもたちと向き合ってきました。同僚の助けに支えられながら、取り組んできた毎日。その中での私自身の成長や気づき、学級の子どもたちの様子を元に、子どもをみる眼とはなにか、子どもをみる眼を用いて何をしなければならないのかを自分なりに考えました。

第2分散会

「みんなの力は無限大」~互いに認め合い、高め合う集団をめざして~

橿原市 小学校 旧6学年集団

「無限大」をキーワードとして 、主体的に学習に取り組む姿勢を大切にし、互いに認め合い高め合う集団をめざしてきた。平和学習では、身近にある戦争の跡にめを向け、学びを進めた。また、自分も周りの人も大切にしてほしいという思いから、絵本「Red あかくてあおいクレヨンのはなし」を用いて多様性について学習を進めた。

「にほんもあかんことしてた」

桜井市 小学校

「Aくんに押された。」「Aくんに叩かれた。」とAの一面から決めつける一部の子たち。そんな決めつけは、Aに対してだけでなく、奈良朝鮮幼稚班との交流前に「朝鮮ってミサイル撃ってるんやろ。」という一言にも表れていた。奈良朝鮮幼稚班との出会いと事後学習を通して、子どもたちが感じとったことを報告する。

「いや、おれ、字よめないよ」

生駒郡 小学校

特別支援学級在籍の2年生A児は文字(ひらがな、カタカナ)が読めず、学校生活に大きな不安があった。私自身経験が少なく、お互い不安だらけの4月であったと思う。「障害」にとらわれず児童の実態を見つめる大切さを中心に、私の取組とA児の変化、関わりの中で気づかせてもらったことを報告する。

第3分散会

はばたき地域学習「乙田の人形浄瑠璃」

生駒市 小学校

総合的な学習の時間に「地域の文化や歴史を学ぶ」をテーマに、乙田の人形浄瑠璃の学習を進めました。文化財保存会の方や南あわじ市の中学生との交流を経て、地域の昔話を脚本化し、人形や背景、音響や司会まで、子どもたちが得意を生かしながら協力して取り組み、地域や在校生に向けて人形芝居を上演しました。

「いのち」の活かし方〜牛と私たちのくらしをつなぐ〜

天理市 小学校

「ねぼすけのおそうしき」と折り紙の棺に書いていたA。育ててきたカナヘビ「ねぼすけ」とすごしてきた日々が綴られた棺を手に、Aはなかまとお葬式を執り行っていた。生き物のいのちに人一倍こだわるAがみんなに当てた手紙から始まるいのちの学習。牛の解体の学習から、「いのちの活かし方」について学ぶ様子を紹介する。

部落差別問題に関わる人権ホームルームと職員研修について

奈良市 高校 

本校での部落差別問題についての人権ホームルームとその準備のための職員研修の内容について報告する。部落差別問題については、性の多様性や障がい者差別問題などに比べて、世代により教員間の認識や経験に差があり、特に若手の教員は苦手意識をもつことも多い。世代や立場を超えて、部落差別問題に向き合えるようにするための職員研修の取組と、その上で展開する人権ホームルームについて報告する。

第2分科会 進路・学力保障

自分で決めたい! でも不安やねん もしあかんかったら・・・

大和郡山市 中学校

支援学級の生徒は、受験を考える時、将来の自分を思い描くことや、見通しの立たない漠然とした進路に対し、不安を隠せずにいる。生徒にとって初めての進路決定を、夢のある、希望に満ちたものにするために保護者と何度も話し合った。そんな中で見ることができた、本人が自分の進路と真剣に向き合う姿や、保護者の想いや願い、を伝えたい。

チームで支える・生徒の成長する姿

奈良県 高校 

中学校は不登校で自閉症と識字障害のAさん。合格段階から関係機関との連携等、学年の教員全員で取り組んできた。当初は彼女の様子を不思議そうに見ていた周囲の生徒たちも次第に彼女の特性を理解し、グループワークで彼女の得意を活かし発表するまでに導いてくれたりと、2年間さまざまに関わっている。そんな彼女と教師、クラスの様子を報告する。

第3分科会 自立と共生をめざす集団づくり

第1分散会

ぐんぐん~やさしい○○っ子をめざして~

香芝市 小学校 旧1年学年集団

本校では、昨年度「明るくて楽しくて安心安全な○○小学校」を合言葉に、「やさしい○○っ子」をめざして、「やさしさ」について考える取り組みを行いました。70人の1年生が、この学年全体の取り組みを活かして、「みんなでぐんぐんのびよう」と友だちと一緒にがんばってきた歩みを報告します。

ひたむきに自分にできることを

御所市 小学校

「なんとかなるだろう」という過信と力不足の中、「How to」ばかり求めていた私。しかし、先生方の「子どもありき」の教育実践とアドバイスから多くを学びました。また、子どもたちとの関わりを通じ、一人ひとりと向き合うことの大切さを実感しました。この学びを報告します。

「共に生きる」

奈良市 中学校

本校で20年程続けている取組「車いすバスケットボール体験と根木慎志さんの講演会」と「福祉施設への実践交流」について報告します。

第2分散会

「しらんぼうし、のってんねんけど」

桜井市 小学校

入学式の控え室で、1人の子どもの机に隣の子どもの帽子がのっていた。その帽子を指さして「しらんぼうし、のってんねんけど…」2人の関係が気にかかる瞬間だった。子どものありのままを受け止めながら、ペアでの活動を基軸とし、子どもたちがつながりあえるクラスをめざした取組を報告する。

ちがっているから すばらしい

葛城市 小学校

期待と不安を胸に、小学校生活をスタートさせた元気いっぱいの1年生17名。その中に、新たな環境に不安を感じている様子のAさんがいた。そんなAさんを中心に、子どもたちが互いの良さを認め合い、みんなで助け合える学級集団をめざし、取り組んできたことを報告したい。

Aさんと結んだ人間関係~心と心のラリー~

北葛城郡 中学校

私が顧問を務める卓球部に年度途中から入部してきたAさんは、自分を表現することが苦手な生徒であった。そんなAさんとの関わりの中では上手くいくことばかりではなく、気持ちがすれ違う事もあった。そのような中で、AさんやAさんの保護者の方とどのようにして「心のラリー」を続けてきたのかについて報告をする。

第3分散会

小集団から育む人とのつながり

大和郡山市 小学校

低学年のころから、友人関係構築に課題を抱えていたAへの支援や取組、そしてその変容を報告します。

Aの自己実現に向けて

御所市 中学校

入学当初のクラスはまじめで、全員が仲の良い雰囲気であった。しかし、日が経つにつれ、友人関係やクラスの課題が見えてきた。その中で、特に気になるAがいた。本人との向き合いの中で見えてきたものがある。3年間のクラスメイトや教師集団との関わりの中で、成長していったAの様子を報告したい。。

勇于跃入新世界~新しい世界へ飛び込む勇気~

香芝市 中学校 3年生学年集団

みなさんはタイトルを見て何となく意味がわかるかもしれませんがきちんと読めますか。私はできません。そんな未知の世界へゼロから飛び込んできた生徒Aについて伝えたい。Aは2024年3月にやってきた。そのような生徒が中国からやってくると聞いて校長室で話を聞いたところ、日本語が全く話せない状態で、英語でAとは会話できるが、言語の壁だけではないAの葛藤を報告したい。

第4分散会

聴くことを大事に 〜言葉に思いをのせて〜

橿原市 小学校

4年生25名の1学級。一人ひとりをみてみると、様々な課題を背負っている子どもたち。「もうええねん。」と自分を見限る姿。ほぼ毎日遅刻をしてくる数名の児童。よく言い合いになる交友関係。中でもA児を中心に、生活、勉強、遊び、いろいろな場面で聴くことを大事に学級の子どもたちをつなげようと取り組んでいった。

よい集団とは〜子どものつながり〜

御所市 小学校

3年生6名の学級集団。少人数ゆえに、特性や個性の強さが見える子どもたち。日々の授業や学習の中から、子どもたちの言葉を紡いでいき、関係性をつないでいく。そこには、教師の見方、考え方、視点が必要となる。教師集団のいろいろな視点などを交えて、6名の学級集団がつながっていく取組を報告する。

受け継がれるもの

生駒郡 中学校

脈々と、時代を超えて、人を繋いで、受け継がれるものがある。私は3年間担任として問題行動を繰り返すAにとことん向き合い、Aと周りの子を繋いだ。その後は学年主任として、問題行動を繰り返すAの弟Bと日々向き合っている。「たくましく自分を育て」、「他の人と共に生きていく」人物、集団を育てる実践報告である。

第5分散会

つながりつづけるために

五條市 小学校

3校統合で新たな学びへの期待と共に課題も浮上した。そんな中、不登校となったAの原因が掴めず途方に暮れる。担任として1人で抱え込まず、多角的な「つながり」を重視した支援を展開することに。試行錯誤を重ねるうち、Aは学校に安心できる居場所を見つける。その変容と彼を取り巻く温かい「つながり」を報告する。

「エナジーチャージ」〜心のエネルギーを充電して、前に進めるように〜

高市郡 小学校

不登校傾向や学習に対する困難さなど、様々な不安を抱える子どもたち。弱い部分や不安な気持ちを安心して話せる関係、互いを理解し合い元気を与え合える学級をめざしてきた。不登校傾向のA・Bと向き合った日々や「エナジーチャージ」を合言葉にチャージし合いながら歩んできた学級集団づくりの取組について報告する。

登校を支えたもの

宇陀市 中学校

1学年1クラスの33人学級。慣れ親しんだクラスメイトと過ごす中でも、学校に登校できないことへの負担は千差万別である。それぞれ異なる理由を抱え不登校傾向にあった2名の生徒が、クラスメイトや保護者、周囲の人と関わることで自分と向き合い、学校に登校できるようになるまでの実践をまとめ報告する。

第4分科会 学校・園・所づくり

生きづらさをかかえた子どもたちの「居場所」づくり

奈良市 中学校

本校では、生徒一人ひとりがその持つ個性や特性を発揮できる「居場所」づくりをめざして日々取組を進めている。今回は養護教諭の立場から、そして特別支援教育コーディネーター(通級指導教室担当と兼務)としての立場からの「居場所」づくりの取組について報告する。今年度、分科会報告はありません

「友だちが出るから行きます」

大和郡山市 中学校

「学校へ行こうと思わない」本校の課題の一つである現状から、子どもが考え、学校行事がうまれた。学力保障として取り組み始めた「○中タイム」を、全校で考える時間として活用した。教員があれこれ動かすのではなく、子どもたちが考え、主体的に取り組んだ実践についてエピソードを交えながら報告する。

夜間中学の保健室~養護教員としての学び~

県内中学校 夜間学級

夜間中学には多様な年齢や国籍の生徒が在籍し、言語や成人特有の健康問題など昼間の中学校と異なる課題があります。養護教員として健康診断や健康相談、授業を通じてこれらの課題に対応し、実態に即した支援を行っています。その中で養護教員の役割の重要性を再認識し、得られた学びや経験を報告します。

第5分科会 保幼こ・小・中・高・地域の連携と教育力

今年度、分科会報告はありません

第6分科会 特別分科会

子どものからだ育て・しなやかなからだづくり

子ども情報研究センター 天野 忠雄さん

社会情勢の変化や新型コロナの流行などで、子どもたちの身体が緊張を強いられたり、バランスを崩したりしていると言われています。現場で接する子どもたちの中にも、姿勢保持が難しかったり、歩き方がぎこちなかったりする子がいるのではないでしょうか。乳幼児期から小中学校への育ちの中で身体を育てることは心を育むことにもつながります。子どもの育つすじみちと表現活動などのお話と、簡単なふれあい遊びやからだほぐしをします。 床に座ったり、動いたりできる服装でご参加ください。

インターネットと子どもたちの人権~人の世にネットあり、人権の光あれ!~

元奈良県外教事務局長・元県立高校教員 黒田恵裕さん

デジタル環境が子どもたちの学びや生活に及ぼす「光と影」について考えます。人権ベースの情報リテラシーを育むことが一層大切になってきています。それは教員や保護者にとっても他人事ではありません。デジタルシチズンの可能性を拡げるとともに、いじめ・差別・偏見を認めず、確かな社会認識や歴史認識を培い、人権尊重のセンスを磨き続けることが自他ともに豊かで楽しい人生につながります。人の世にネットあり、人権の光あれ!

みんなが優しい街づくり

社会福祉法人祥水園 特別養護老人ホーム水杜/水がたり 生活相談員 櫻井紳也さん

私たちは高齢者福祉に携わる一方、地域と共に古民家を改修した「阪合部CLASS」で活動しています。ここでは【学ぶ・創る・つながる】を軸に、昔の道具や知恵を活かし、多世代が集う場づくりを実践。介護を受ける立場のお年寄りも役割を持ち、関係性が“ごちゃまぜ”になる中で、一人ひとりの強みや新たな一面を発見しました。支援とは一方通行でなく、共に関わり合い、出番を創ることだと実感しています。

全体会 オープニング

「五條かるた」を通して学ぶ命の重み ~北宇智空襲と紀伊半島大水害~

五條市人権教育研究会

五條市では、ふるさと学習の一環として「五條かるた」を活用しています。かるた遊びを通して、低学年からふるさとの文化や自然に親しむことができ、「聞いたことがある」を活かして学習を深めることもできます。中でも「北宇智空襲」と「紀伊半島大水害」の札は、かけがえのない命の大切さを伝えるものです。今回の研究大会では、児童生徒がこれらを学ぶ様子をまとめた動画をオープニングとしてご覧いただき、研究大会を開催させていただく五條市における人権教育の取り組みの一端を知っていただければと思います。

全体会 特別報告

五條市現地実行委員会

「Aとその母とのかかわりを通して」

五條市 中学校

母親との不和をきっかけに、家庭内で問題行動を繰り返し、学校では欠席・遅刻を重ね、生活に希望を見いだせていなかった生徒Aとのかかわりについての内容である。Aとの関係に苦悩する母に寄り添い、Aと母との架け橋としてサポートした教員や、Aに寄り添い、支えようとした学級の仲間たちなど、周囲のサポートを受けながら目標を掲げ、高校進学・卒業までを頑張り抜いたAの日々をまとめた。

全体会 記念講演

部落問題を通して考える日常の中の差別

BURAKU HERITAGEメンバー  上川多実さん

「差別はよくない」ということはほとんどの人が知っているにもかかわらず、なぜこの社会からなかなか差別がなくなっていかないのでしょうか。それは、「知らないからこそしている差別」や「知らなくてもできてしまう差別」があり、今この社会ではそのような無知による無自覚な差別が主流だからです。現代的レイシズム、マジョリティ特権、マイクロアグレッションなどの概念を用いながら、無知による無自覚な差別とは具体的にどのようなものなのか、どうすればそれらの差別をなくしていくことができるのか、なぜ部落問題学習や人権学習が必要なのかについてお話していきます。