2012年度 あいどるとおく

 

3月号 「鬼アプリ

ほとんどの人が携帯電話を持つようになったのはまだまだ最近のこと。
しかしながら、IT世界の推移はめまぐるしく、今年中にはスマートフォンがその主流となるとか。

スマートフォンは電話ではなくコンピュータです。
コンピュータに電話の機能がついていると考えた方がいいのかもしれません。
コンピュータですから様々な機能を追加できます。
そうした機能のことをアプリケーション、略してアプリと言うのだそうです。

そのアプリに、次のようなものが登場しました。

困ったときの鬼頼み?!小さなお子様をもつお母様に、とっても役立つアプリが登場!
「おにから電話」を使えば、鬼やお化けから電話がかかってきて、お母様のしつけをサポートしてくれます。

子どもが言うことをきかないとき、こっそりこのアプリを起動させると、鬼から電話がかかってきます。
もちろん、録音されたものが流れる(画面には恐ろしい鬼のイラストが表示される)だけですが、小さい子らにはけっこう迫力が。
あるテレビ番組では、何度かこれでしつけられた子が着信音を聞いただけで苦手な食べ物を口に運び出す場面が紹介されていました。
その顔は、恐怖にひきつっているように見えました。

「こわいから言うことをきく」
そうして育てられた子は、やがて人を怖がらせて言うことをきかせるという方法を身につけてしまわないでしょうか。
今、大きな問題となっている体罰も、その多くは自身も体罰を受けた経験を持つ世代が、少なからずそれを容認しているところに端を発している感があります。
恐怖により行動を矯正する手法の連鎖を断ち切らねばなりません。

前述の番組では、子どものしつけに怖さは必要として、「昔はこわいおじさんが近所に必ずいたものですね」というコメントが。
でも、こわいおじさんは単にこわい存在ではなかったように思います。
いつも地域の子どもたちを見守ってくれる厳しいおじさんではなかったでしょうか?おじさんにはあたたかい熱が、そして地域には明るい光が感じられたのは過去のことでしょうか?
人の生き方を変えるのは、何よりも人の世にある熱であるということを日々自らに確かめつつ、佳き日をめざしたいと思います。