2019年度 あいどるとおく

 

9月号 「厳しさとは?

 みなさんにとっての「厳しさ」とは何ですか?
 職場で学級経営について悩んでいる同僚がいました。自分が思うような言動をとってくれないクラスの子。次第に授業中、席に座っていることも難しくなり、クラスメイトとのトラブルもしばしば…。時には厳しく叱ったり、じっくりその子の話を聴いたり、学年の先輩先生に相談しながら、いろいろな方法でアプローチを続けられていました。
 ある日、その同僚が保護者に「先生はもっと子どもたちに、厳しく接した方がいいんじゃないですか?」と言われました。同僚は「いろいろ試してみたんですけど、子どもたちに圧力をかけて叱るのは、どうも性に合わないんです。自分なりの接し方をみつけられるように学年の先生と協力しながら頑張るので、もう少し見守っていただけませんか?」とこたえました。
 それから1ヶ月くらいが経ちました。そのクラスは、いい雰囲気に包まれていました。こんな短期間で雰囲気が良くなるクラスをみたことがなかったので、同僚にどんなことをしたのかききました。同僚は「特別な取組はできていないんですけど・・・。問題が起きた時、は子どもたちにとって一番いいことを考えて日々過ごしています。」と話してくれました。
 2019年は、『児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)』が1989年の第44回国連総会において採択されてから30年です。(*日本が条約に批准したのは1994年)
 『子どもの権利条約』の一般原則には、「子どもの最善の利益」という項目があります。そのクラスの子どもたちの表情をみていると、同僚が学年の先生と協力しながら、「ああでもない。こうでもない」と悩み、実践されたことが、子どもたちにとって最も善いことになったように感じました。また、子どもたちに対して厳しく対応しなければならない場面において、人それぞれアプローチの仕方は違うと思います。しかし、絶対に忘れてはいけないことは「子どもの最善の利益」なんだと改めて気づかされました。